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第5話「不審者は誰だ!?」Bパート

Posted by 桜埜春佑 on 31.2013 召獣戦隊マジックフォース 0 comments 0 trackback

「くそ……まだか……」
 聖歌がスパイの襲撃を受けた。取引先への挨拶に行っていたゼムスは車のタイヤを取り換えて急いで聖歌が一人で店番をする店へと向かっていた。ところが、神のイタズラか今度は車が渋滞に巻き込まれていた。
「聖歌…無事でいてくれ…。」
 ゼムスは責任者として聖歌の安否が心配でならなかった。

「急げ、みんな!」
一方、ゼムスから知らせを受けたマジックフォースも急いで聖歌がいるトイランドに向かってマジックマシンを走らせていた。
「ちくしょう、何でこんな時に限って渋滞なんかしてやがんだ?」
「もしかしてこれも敵の作戦なのかな?」
 しかし、彼らもまた道路の渋滞に巻き込まれていた。彼らの眼先にはたくさんの車がクラクションを鳴らしながら立ち往生していた。
「くそ……迂闊だった…客入りが少ないうえに一人しかいない時間を狙うだなんて」
 翔助は基地の中に隙ができたところを狙われたことに悔しさを覚えた。
「ねえ……聖歌さんを襲ったのってあの外車に乗っていた人間なのかしら?」
「確か乗っていたのは二人だったな……2対1では聖歌さんでも勝ち目がないな」
 彼らの脳裏のあるものが過ぎった。それは先日トイランドの前に止まっていた黒い外車である。翔助が目撃した搭乗者は二人…。例えマジックフォース選抜試験を勝ち抜いた聖歌でも一人で二人相手など不利である。
「迂回するぞ!」
「了解!」
「聖歌さん……待ってて……」
 痺れを切らした翔助たちは多少トイランド到着の時間はかかってしまうが、迂回をすることになった。遠回りではあるが、真っ直ぐ進めるのを待つよりかは時間が短縮できるからである。

「着いたぞ!」
 数分後、マジックフォースはやっとの思いでトイランドへとたどり着いた。
「あら? あの外車がないわ!」
 しかし、デスカオスのスパイの物と思われる黒い外車は止まっていなかった。
「二人組か……どんなやつ等なんだ?」
 翔助は聖歌ほどの実力者をねじ伏せるほどの強者の存在に息を呑んだ。
「いや……二人じゃない……一人だ!」
「ゼムス?」
 だが、そこへゼムスから通信が入った。ゼムスはスパイの人数は二人ではなく一人だと言った。
「どういう事ですか?」
「じつは……」
 マジックフォースには何がどうなっているのか解らなかった。ゼムスはそんな彼らに自分が気付いたスパイの正体を教える。
「ウソでしょ……?」
「まさかあの人が……」
「どうりで疑われないわけだ……」
「信じられねえ……」
 マジックフォースはスパイの正体に驚愕した。それほど驚くべき人物だったらしい。
「ゼムス……オレたちは今トイランドの前にいます。つまり敵は目と鼻の先にいます」
「そうか……」
 翔助は自分たちが敵に接近していることをゼムスに告げた。
「そっちはあと何分でここに着きますか?」
「今ちょうど渋滞を抜けたところだ。あと十分もすればそっちに辿り着ける!」
 翔助はゼムスに対してあと何分でこの場所に到着できるかと訊ねた。この時ゼムスはようやく渋滞を抜けたところだった。
「敵と対峙します! 戦闘許可をください!」
 翔助は相手がデスカオスのスパイということもあり、聖歌を救出するために敵と戦うためにゼムスに戦闘許可をもらうことになった。
「分かった……頼んだぞ……」
「ありがとう……」
 ゼムスはこの緊急事態に戦闘を許可した。
「みんな……覚悟はいいか?」
「当然だ!」
「臨むところだ!」
「準備はできてるよ!」
「行きましょう!」
 翔助たちは敵が侵入した店に突入する覚悟を決めた。
「行くぞ!」
 翔助の合図と共にマジックフォースはトイランドに突入した。

「聖歌さん!」
 翔助は聖歌とスパイがいる事務室のドアをけ破った。それと同時にマジックフォースの5人が事務室に突入した。
「……う……ううう!」
「聖歌さん!」
 そこにはロープと口を塞ぐ布で体の自由を奪われている聖歌の姿があった。
「今助けます!」
「ジョン、俺たちも行こう!」
「うん!」
 それを見た鉄哉、健次、ジョンの3人は迷うことなく聖歌を拘束から解放した。
「大丈夫ですか?」
「ええ、生きているわ。」
 健次は聖歌にケガがないかと訊ねた。聖歌はそれに対して「大丈夫だ」と返した。
「来たか……マジックフォース!」
 もちろんそこにはデスカオスのスパイもいた。
「やっぱりあなただったんですね……!」
 マジックフォースはデスカオスのスパイと対峙した。しかし、翔助は「やっぱり」と言った。その言葉の意味はゼムスが言った正体通りだったからだ。
「そうでしょ? 川野辺さん!」
 スパイの正体……それはこの店の取引先の社員である川野辺だった。もちろん当の本人はマジックフォースと向かい合って立っていた。
「ご名答……俺がデスカオスから送り込まれたスパイだ!」
 川野辺は白を切ることはなく、自分がスパイだと堂々と言った。
「だが、なぜおれがスパイだと解った!」
 正体がばれても堂々としている川野辺はマジックフォースに対してなぜ自分がデスカオスから送り込まれたスパイであることに気付いたのかと訊ねた。
「ゼムスから聞いたんだ! もっともゼムスは会社にいる人間から聞いたんだけどな!」
「あんたは前の店舗でも納品しに来ていた……」
「でも実際はとっくの昔にあんたは会社を辞めていた……」
「それからしばらくしてあのハサミのモンスターが現れた……」
「だけどしばらくしてあなたはその会社の社員としてここに来た……。辞めているのにも関らずにね!」
「元社員が辞めた後も商品を納品しに来るなんてあるえないはずだ!」
 マジックフォースはゼムスから全てを聞いていた。じつは川野辺は前の店舗でも納品に来ていたが、その時には既に取引先の社員ではなかった。それと同時にハサミカオスが現れていた。だが、その後もその会社の社員として自分たちの前に現れた。大体会社を辞めた人間が商品を納品しにくること自体があり得ないことであった。
「ほう……。あの男顔だけではなくて頭もよいようだな……。だが、俺が起こした渋滞は抜けられなかったようだな!」
「あの渋滞はあんたが起こしたのか?」
「その通りだ! 誰のか判らない車に爆弾を仕掛けてやったよ!」
 川野辺は敵照りながら読みが鋭いゼムスを称賛する一方で、マジックフォースやゼムスを苦しめたあの渋滞を起こしたのは自分だと言った。
 そう、あの渋滞は彼によって仕組まれたものだったのだ。
「戦うしかないのか……」
「そうだ!」
 翔助たちは敵として現れた川野辺と戦わなければならないことを悟る。
「だが、その前にテーブルの上にある箱を開けてみろ!!」
 だが、川野辺は戦闘態勢をとるマジックフォースに対してテーブルの上にある箱を開けてみろと言った。テーブルの上にはきれいにラッピングされた箱があった。
「これは……?」
 翔助はその謎の箱を開けた。
「爆弾だわ!」
 箱の中身…それは時限爆弾だった。
「戦場で待っているぞ! 30分後に生きていたのならな!」
「待ちやがれ!」
 川野辺は爆弾を解除できたなら戦ってやると言って店から出ていった。
「どうしよう……爆弾の解除方法なんて分からないよ!」
「でもこのままじゃ全員お陀仏だぜ…!!」
 一方、他のマジックフォースは困惑していた。誰一人として爆弾解体など教わっていないからだ。だが、そうする間にも爆弾尾タイマーは刻一刻とタイムリミットを刻んでいた。
「みんな!」
「ゼムス!」
 そこへやっとの思いで渋滞から抜け出たゼムスが戻ってきた。
「なにがあった!?」
「じつは……」
 ついさっきまで渋滞と格闘していたゼムスはその間にこの店の中で起きていたことが解らなかった。翔助はそんな彼にこれまでの経緯を話した。
「……分かった……ここは僕と聖歌に任せろ! 君たちは川野辺を追ってくれ!」
「えっ?」
「聖歌、手伝ってくれ!」
「分かったわ!」
 ゼムスは事の経緯を聞いて、爆弾の解除を買って出た。彼は爆弾解体を引き受けるとマジックフォースに戦いに赴けと命じた。
「でも……」
「僕だって選抜試験を勝ち残った五人の一人だぞ! 爆弾解体の技術も心得ている! それにここで君たちが吹っ飛んだら誰が世界の平和を取り返すんだ? だからお願いだ! 戦いに行ってくれ!!」
「お願い、行って! 他の誰かがあなたたちを悪く言っても私たちはあなたたちを守るわ!」
 心配するマジックフォース。だが、ゼムスと聖歌は選抜試験の勉強で学んだ爆弾解除を活かそうとしていた。爆弾解除を引き受けたこととマジックフォースに対して自分にかまわずに戦いに赴けと命じたこと…これら全てはマジックフォースを信頼してのことだった。
「行こう……!」
「うん…」
 翔助はそれを確認すると、他のメンバーに号令をかけて戦いへと赴いた。他の四人もそれに従った。
 五人は決意を固めて戦場へと赴いた。
「どうか御無事で……」
「任せて!」
「僕たちは絶対爆弾を止める! だから君たちも生きて帰ってこい!」
「了解!」
 ゼムスと聖歌はそれでも心配なマジックフォースに対して「任せろ」と宣言した。マジックフォースはそれを聞いて店から出ていった。

「あと十五分か……」
「計画通りですね!」
 一方、別の場所でトイランドの壊滅を待つ川野辺は刻一刻と訪れる爆弾の爆発を待ちに待っていた。そこには四准将のガルバとサキュアがいた。
「しかし、考えたわね。取引先の社員に扮して潜り込むだなんて……」
「まさか、もうその会社の社員ではないなんて誰も知らなかったようですね!」
 サキュアとガルバは自分たちの作戦がまたも成功して勝ち誇っていた。
「ふふふ……これで俺の復讐は果たされる!」
 しかし、川野辺はこのスパイ作戦は何者かへの復讐だと口にした。川野辺はそれが成功して笑みを浮かべていた。
「残念だったな! オレたちは生きているぜ!」
 そこへ崖の上から五つの影が現れた。
「お前たちは……」
「マジックフォース?」
「なぜここにいるの?」
 五つの影の正体。それはマジックフォースだった。
「お前たちあの女を見捨てたのか?」
 川野辺や准将たちにはなぜこの場にマジックフォースがいるのか解らなかった。まだ爆発する時間まで猶予があるため川野辺はマジックフォースに対して聖歌を見殺しにしたのかと訊ねた。
「違う! ゼムスがあの場を引き受けたんだ!」
「ゼムスと聖歌さんは俺たちを信じて戦いに行けって言ったんだ!」
「ボクたちはゼムスや聖歌さんの想いを無駄にしない!」
「聖歌さんが受けた痛みは百倍……いいえ千倍にして返してあげるわ!」
「覚悟しろ!」
 しかし、マジックフォースは聖歌を見殺しにしたのではなく、彼女や自分たちを信じて爆弾解除を引き受けたゼムスの想いを無駄にしないために、彼の命に従ってこの場に赴いたのだ。
 そして、マジックフォースは真剣な眼差しで川野辺や准将を睨み付けた。
「ガルバ! あなたの作戦大失敗じゃない?」
「おのれ……!」
 サキュアとガルバは作戦が狂ったことで揉め事を起こし始めた。
「川野辺! これはあなたの不始末です! あなたがけりをつけなさい!」
「分かっているわ!」
 ガルバは責任転嫁する形で川野辺に全てを押し付けた。
「おのれ……こうなったら俺がお前らを消し去ってやる!」
 川野辺は左袖を捲って懐からカードを取り出すと、左腕に装着されているブレスレットにそのカードをリードしてカオスモンスターの姿になった。
「デビラー兵団! 出番よ!」
「後は任せましたよ! 川野辺……いえスパイカオス!」
「任せておけ!」
 サキュアは一枚のカードを投げて、デビラー兵団を召喚した。一方、ガルバは完全に川野辺…もといスパイカオスに自分の作戦の尻拭いをさせようとしていた。二人はスパイカオスに全てを任せて去って行った。
 そして、スパイカオスは完全に戦闘態勢に入っていた。
「みんな! 準備はいいか!」
 一方、マジックフォースも戦おうとしていた。翔助は他のメンバーに準備はいいかと訊ねた。
「当然だ!」
「一暴れしたかったところだぜ!」
「準備はできてるよ!」
「いつでも行けるわ!」
 健次たちは翔助の問いかけに対して「いつでも行ける」と返した。全員戦闘態勢にいることが窺える。
「よし! 変身だ!」
「了解!」
 マジックフォースは翔助の号令と同時にカードホルダーから返信用カードを取り出して変身する体制に入った。
「マジックチェンジ!」
 五人は変身コードを叫びながらカードをリードした。すると、五人の体は一瞬虹色の光に包まれて姿が変わった。
「正義の戦士マジックレッド!」
「闘志の戦士マジックイエロー!」
「知性の戦士マジックブルー!」
「優しさの戦士マジックグリーン!」
「愛情の戦士マジックピンク!」
「笑顔を守る五人の戦士! 召獣戦隊……」
「マジックフォース!」
 そして、五人は見事に名乗りを決めた。
「野郎ども! 片付けろ!」
「ギーーーーッ!」
「ミッションスタート!」
 スパイカオスの号令で大勢のデビラー兵がマジックフォースに突入していった。マジックフォースはそれに迎え撃つかのように駆けた。
「マジックソード!」
「マジックハンマー!」
「マジックアロー!」
「マジックディスク!」
「マジックロッド!」
 マジックフォースはそれぞれの個人武器を駆使して、デビラー兵団に迎え撃った。
「ギギ…。」
「ギーーーーッ!」
 デビラー兵団はマジックフォースの攻撃によって全滅した。
「後はお前だけだ! 川野辺……いや、スパイカオス!」
 そして、マジックフォースはスパイカオスを追い詰めた。
「俺を舐めるな!」
 すると、追い詰められたスパイカオスは自分の影の中へと沈んでいった。
「消えた……?」
「どこへ行きやがった……?」
 マジックフォースは突然に消えたスパイカオスに困惑した。
「ここだ!」
「なに……?……ぐはっ!」
 その時、マジックイエローの影の中からスパイカオスが現れた。マジックイエローは応戦する間もなく攻撃を受けてしまった。
「影から現れた?」
「驚いたか? 俺は自分の影を入り口にして狙った相手の影に移動することができる。影があるところになら誰かの背後に行くことができるぞ!」
 なんと、スパイカオスは自分の影を入り口に伝って、誰かの近くに行ける能力を持っていた。
「くそ……だったら日の当たらない場所へ……」
「させるか!」
「うわーーーーっ!」
「健次!」
 それを聞いたブルーは影があってもなくても条件が同じな日の当たらない場所へと行こうとするが、考えを読み取られて、攻撃を受けてしまう。
「どうしよう……これじゃ動けないよ……」
「あたしたちこのまま手も足も出ないの?」
 影を通して相手の近くにまで接近できる能力に今度はマジックフォースが追い詰められた。
「影のあるところ? そうか!」
 すると、レッドが何かを閃いた。
「みんな、動くな!」
 しかし、レッドはなにを思ったのか、他の四人に対して、知らない間に近くに現れる敵を前にして絶対に動くなと言い出した。
「えっ?」
「お前、何を言ってやがる?」
「あいては影をつたって近づいてくるのよ?」
 レッドの突拍子のない提案にイエロー、グリーン、ピンク三人は困惑した。
「だからこそ言っているんだ!」
 だが、レッドは相手に影を伝う能力があるからこそむやみやたらに動くなと答えた。
「なるほど……そういう事か!」
「おっ、健次は判ったか!」
 だが、ブルーだけはレッドの意図を理解した。彼は発言する前に自分の周りを確認していた。
「おい、スパイカオス! お前の弱点は見破ったぜ! かかってこいよ!」
 すると、レッドが次に起こした行動は不利な状況にもかかわらず、スパイカオスを挑発することだった。
 しかし、それはピンクたちから見れば明らかにやられに行くような自殺行為であった。
「バカめ……負けを認めたか……」
 一方、レッドの意図を知らないスパイカオスはまたも能力を使ってマジックフォースに攻撃を仕掛けた。
「まずはマジックレッド! 貴様からだ!」
 スパイカオスが挑発後の標的にしたのは、自ら挑発をしたレッドだった。
「……」
 だが、レッドは逃げることもなくその場から動こうとはしない。
「死ねええええ!」
 スパイカオスはあっという間にレッドの背後に現れた。
「そこだ!」
「なにっ? ぐはっ!」
 しかし、レッドは背後から現れたスパイカオスの顔面に裏拳をヒットさせた。
「なぜだ……? なぜおれが出てくる場所が判った?」
 スパイカオスは、なぜ自分が出てくる場所が判ったのかとレッドに訊ねた。
「簡単だ! お前は決まった方角にしか現れないからだ!」
 レッドは、これに対してスパイカオスが決まった方角にしか現れないからだと答えた。
「当たった?」
「ウソだろ?」
「どうなってるの?」
 突然の出来事にピンクたちも何が起きたのか解らなかった。
「俺が説明するよ。」
状況が呑み込めないピンクたちを見たブルーは、レッドに代わって説明することにした。
「影は時間帯によって現れる方向が変わるんだ。だから、翔助は自分の影の位置を把握して、奴が現れる方角を予想できたんだ」
「なるほど!」
ブルーは言う。人や物体によって発生する影は時間帯ごとに様々な方角に現れる。
じつは、スパイカオスの弱点は例え、気配を消しながら敵に近づくことができても、影が発生している方角にしか現れることができない。レッドとブルーはそれに気が付いたのだ。
「お……おのれ!」
「力の仕掛けさえ破ればこっちのものだ!」
 マジックフォースが敵の能力の弱点を見破ったことで、戦況が逆転した。
「行くぞ!」
 ここからマジックフォースの逆襲が始まった。
「閃光一閃!」
「真空の牙!」
「邪心打破!」
「裁きの聖打!」
「退魔手裏剣!」
 マジックフォースはそれぞれの個人武器を使った必殺技をスパイカオスに向かって繰り出した。
「ぐはっ……」
 五人の必殺技がスパイカオスに命中した。
「みんな! 召獣砲行くぞ!」
「おう!」
 そして、とどめの召獣砲を繰り出すためのカードを呼び出すためにマジックフォースは気を集中させた。
「おっ! またオレか!」
 今回砲手に選ばれたのはまたもレッドであった。
「頼んだわよ!」
「一発決めてやれ!」
「よし、みんな! オレに力を分けてくれ!」
 ピンクたち四人はレッドに力を分け与えた。
「行くぞ! 必殺! 召獣砲!」
 レッドは右の掌に光の弾を発生させると、それをスパイカオスに向かって発射した。
「うわああああ……」
 レッドが放った召獣砲はスパイカオスに命中した。
「くそ……俺は……俺は負けんぞ!」
「まだ立ち上がるか?」
 しかし、まだ力が尽きていないスパイカオスは巨大化のカードを使って、最後の抵抗を見せた。
「よし! 召獣召喚!」
 レッドは巨大化した敵に対抗するために召獣召喚のカードを使って五体の召獣を呼び出した。
「よっしゃ、いくぜ!」
「モンスターども、かかってこいや!」
「出番ですか」
「一暴れしまーす!」
「やってさしあげますわ!」
 五体の召獣は勢いよくマジックホエールの口から飛び出してきた。
「搭乗!」
 レッドの号令のもと、マジックフォースはそれぞれのパートナー召獣に搭乗した。
「合体だ!」
「召獣合体!」
 そして、レッドの合図で五体の召喚獣は合体し、グレートマジックとなった。
 グレートマジックはスパイカオスに迎え撃つために戦いの場に赴いた。

「あれ……?」
 しかし、マジックフォースはスパイカオスが待ち受けていると思われる場所に行って違和感を感じる。そこは、縦長のビルが立ち並ぶオフィス街だった。
「あいつ……いないよ?」
「間違いなく巨大化したはずだよな?」
「逃げたのか?」
「どうなってるの?」
 マジックフォースが感じた違和感。それはスパイカオスがこの場にいないことだった
ここはオフィス街。見た目だけで目立つカオスモンスターが巨大化したのなら、その時点で発見されるが、どこにも見当たらなかった。
「ここだ!」
「うわああああ!」
 その時、背後からスパイカオスが現れた。グレートマジックは敵の攻撃に倒れこんだ。
「罠にかかったな! 後ろを見ろ!」
 スパイカオスは攻撃が決まってしてやったりの顔をしながら、マジックフォースに対して後ろを見ろと言った。
「ウソでしょ?」
「ビルの影から現れたのか!」
 マジックフォースは言われたとおりに背後を見た。よく見ると、グレートマジックの背後には高いビルが建っていた。そう、スパイカオスはビルの影から現れたのだ。
「おい、よく見ろ!」
「一つだけじゃないわ!」
 さらに周りをよく見ると、たくさんのビルが多くの影を作っていた。
「五人もいてなにも気づかないとは本当に間抜けだな! お前らがここに来るように誘い込んだんだよ!」
「なに?」
じつは、スパイカオスはマジックフォースをオフィス街に来るように仕向けるためにビルの影に隠れて、待ち伏せをしていたのだった。
 そう、自分に有利な場所にマジックフォースを誘い込んだのだ。
「なぶり殺しにしてやるぞ!」
「うわああああ!」
 周りに影が複数あり、マジックフォースが乗るグレートマジックは再び完全不利な状況に追い込まれた。
「苦しみぬいて死ね!」
 それはまるでゲームセンターにあるモグラたたき。グレートマジックはまるでモグラを一回も叩くことができないプレイヤーの様になった。
 グレートマジックは成す術なく影から影へと移動するスパイカオスの集中攻撃を受けることになった。
「くそ……やりたい放題やりやがって!」
「でも、影が多い分相手の動きも早いよ!」
 手も足も出すことができず、ただひたすら敵の攻撃を受けるしかないマジックフォースは完全に手詰まりとなった。
「あっ……ツキが回ってきた!」
 その時、レッドは「ツキが回ってきた」と意味不明な言葉を言い出した。
「翔助、あんたこんな時に何を言ってんのよ!」
 しかし、ピンクにはレッドの言葉の意味が解らなかった。
「そうか、そういうことか!」
 すると、ブルーはそれを見て納得した表情をした。
「だからなに?」
「まだ分からないのか……あれを見ろ!」
 しかし、それでもピンクはレッドの言葉の意味を理解できなかった。
 ブルーは、これを見かねて、ある方向を指差して、その先を見ろと言った。
「曇り空?」
「さっきまで晴れてたよな?」
 そこには先ほどまで青かったのに急に雲に覆われた空があった。
「あっ、雨だわ!」
 そこへ、一粒の雫がグレートマジックの頭に落ちて、それを合図に激しい雨が降り出した。
「この戦い……。オレたちの勝ちだ!」
 レッドは、雨が降ったことで勝利を確信していた。
「ふん……。雨が降ろうと貴様らが死ぬことには変わりはない!」
 しかし、スパイカオスはそれでも自分の勝利することには変わりないと自信満々だった。
 彼は、そう言うと再び能力を使って、ビルの影の中に入ろうとした。
「なに?」
 ところが、スパイカオスに異変が起きた。
「なぜだ? なぜ影に入ることができない?」
 それは突然の出来事だった。ついさっきまで自由自在に影から影への移動を繰り返していたスパイカオスが突然影に入ることができなくなっていた。
「まだ気付かないか? 周りを見ろ!」
 これを見たレッドは、なぜ急に能力が使えなくなったのか解らないスパイカオスに対して、周りを見ろと言った。
「なんだと? 影が…影がない!」
 スパイカオスは、足元を見て驚いた。そこにはどこにも影などなかった。
「どうなってるの?」
「オレは説明が苦手だ! 健次、代わりに説明してくれ!」
「はいはい……」
 突然、能力が使えなくなったスパイカオス。ピンクたち三人も、何が起きているのか解らなかった。
レッドは、唯一自分の考えを理解しているブルーに対して何が起きているのか説明するように頼んだ。
「簡潔に言うぞ! 例え何かが立っていたとしても雨が降っているうえに地面が濡れていれば影は現れないんだ。だから、やつは能力が使えなくなったんだ!」
 ブルーは言う。雨が降っているうえに地面が濡れて、黒く変色しているときにはどんなものが立っていても、影は現れないのだと。 
そう、雨が降ったことで影が発生しなくなったからスパイカオスは能力が使えなくなったのだ。
4
「なるほどな!」
「だからツキが回ってきたってわけだね!」
 そう、雨が降って影が出現しなくなったことで能力も使えなくなる。そうすれば勝利したものであった。
 レッドが言った「ツキが回ってきた」という言葉にはそういう意味が含まれていた。
「チャンスよ!」
「今だ!」
 マジックフォースはこの最大のチャンスを逃さなかった。彼らは必殺剣を使用するためにマジックセイバーを出現させた。
「グレートマジック必殺剣術召獣斬!」
 マジックセイバーを装備したグレートマジックは、大きく剣を振りかざして、スパイカオスに斬りつけた。
「ぐああああああ……!」
 スパイカオスは、断末魔の叫びと共に光の粒子となって消えていった。
「やったぜ!」
「勝った!」
「勝ったわ!」
 マジックフォースはスパイカオスを倒したことで、勝利を味わった。
「……」
「……」
 だが、レッドとブルーはなぜか腑に落ちない様子を見せた。
「みんな、聞こえる?」
「聖歌さん?」
 と、その時ゼムスと共に爆弾の解体作業をしている聖歌から通信が入った。
「今すぐ川野辺を捕まえて!」
「どういうことですか?」
「じつは……」
 聖歌は、突然ついさっきまで戦っていたスパイカオス……もとい、川野辺を捕まえろと言い出した。
 彼女は、何を言われているのか解っていないマジックフォースに事の経緯を話した。

「……う……ううん……」
「……い……おい! 起きろ!」
 数分後、マジックフォースは気絶している川野辺が目を覚ました。彼が目覚めて最初に見た光景は自分の体を揺さぶっているイエローの姿だった。
「おはよう!」
「……そうか……。俺、負けたんだ……」
 次にグリーンが笑顔で「おはよう」と言った。
それと同時に川野辺は、自分の手のひらを見た。その手は人間のものだった。彼は、人の姿に戻ったことで、自分が戦いに負けたのだと理解した。
「目を覚ましたところで悪いけど、あなたに訊きたいことがあるの」
「なんだ?」
 次にピンクは川野辺に対して訊きたいことがあると言った。
「……赤か黒……どっち?」
「はっ?」
 ピンクは、突然川野辺に「赤か黒、どっち?」と訊ねてきた。
「ゼムスと聖歌さんの働きで爆弾の解体は最後の作業だけになった……。それは赤と黒のコードのどちらかを切ることだ」
 ブルーは、ピンクの言葉の意味を話した。じつは、ゼムスと聖歌は順調に爆弾の解体を進めていたが、最後のある作業で手こずって時間を食っていた。
 それは、赤と黒の二本のコードだ。スパイ映画ではよく見るこの場面は爆弾を解体するシーンでよく見られるが、もちろん正解はどちらか一本のみ。間違いのコードを切ればタイムリミットに関係なく爆発してしまうのだ。
 しかし、正しいコードがどっちなのかは作った本人にしか分からない。だから、聖歌は正解のコードを聞き出すために、マジックフォースに川野辺を捕まえるようにと言ったのだ。
「言え! 正解はどっちだ?」
 ブルーは川野辺に正解のコードを聞き出そうとする。
「知らんな!」
「この野郎! 殺人犯になりてえのか?」
 だが、川野辺は知らぬ存ぜぬの態度をとった。これに激怒したイエローは、怒りに身を任せて、川野辺の胸ぐらをつかんだ。
「……」
 すると、突然川野辺は怒り顔をしているイエローから目線をはずした。
「……赤を切れ。それが正解のコードだ!」
 それと同時に川野辺は掌を返したかのように、突然「赤いコードを切れ」と言い出した。
 すると、彼はなぜか笑みを浮かべた。
「聖歌さん……ゼムスに黒いコードを切るように言ってください!」
 だが、レッドは川野辺の言葉に反して、聖歌に赤ではなく黒のコードを切るようにと進言した。
「ゼムス……聞こえた? 黒いコードを切って!」
 聖歌はこれを聞いて、レッドの言葉に従った。川野辺ではなくレッドの言葉を信じたのだ。
 それから間もなくしてコードを切る音が一回鳴った。それと同時に聖歌の声は途絶えた。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
 マジックフォースは、数秒間の沈黙に言葉を発することができなかった。
「成功だ。翔助くん……きみの方が正しかったよ」
 そして、爆音は鳴り響かず、ゼムスの声が返ってきた。どうやらレッドの言うとおり黒いコードが正解だったようだ。
「よかった……!」
「ドキドキしたよ……!」
 グリーンとピンクは爆弾の爆発を回避できたことで、安心して地面の尻をつけた。
「……なぜだ?」
 だが、この場面でただ一人だけ納得がいっていない人物がいた。そう、川野辺だ。
「なぜ、俺の言葉が嘘だと解った?」
 川野辺はなぜ自分の言葉が嘘であると判ったのかとレッドに掴みかかった。
「簡単だ……。あんた自身が答えを教えてくれたんだ!」
 レッドは川野辺自身が答えを教えてくれたのだと答えた。だが、川野辺は間違いなくウソのコードを切れと言っていた。
 なのに、なぜ正解を自ら言っているのだと判ったのだろうか?
「あんた、鉄哉に胸ぐらを掴まれた時に下を見たよな? あんたの目線の先にはあれが落ちてたんだよ!」
 レッドは川野辺がイエローに胸ぐらを掴まれた時に目線を逸らした所を見逃さなかった。
じつは川野辺の目線の先にはある者が落ちていた。レッドはそれを指差した。
「これは?」
「手帳だわ!」
「しかも赤いぞ!」
川野辺がイエローに胸ぐらを掴まれた時にいた場所には赤い手帳が落ちていた。どうやらその時にスーツの胸ポケットから落ちたようだ。
「なるほどな……」
しかし、手帳が落ちていたことに驚くイエロー、グリーン、ピンクをよそにブルーだけはまたもレッドのいう事を理解した様子で納得の表情をした。
「あんたが自分の足元を見た時にはその手帳が落ちていたんだ。その時点ではオレもまだ半信半疑だったが、よく見るとあんたはネクタイや腕時計のベルトも赤かった。それで確信した。あんたは赤い色が好きだと……。あんたは絶対に赤いコードを正解には選ばないってな!」
 レッドは川野辺の足元に赤い手帳が落ちているのを見た時点では、わざと不正解のコードを切るように言った彼の言葉が嘘だと疑っていた。だが、レッドは川野辺をよく見てから彼が嘘を言っていると確信した。
 じつは、川野辺は赤い手帳を持っていた他に、赤いネクタイやベルトが赤い腕時計など赤いものをいくつか身に着けていた。
 レッドは、そこから彼の好きな色が赤だと見抜いて、彼が好きな色を切りたくないと思っているのだと判って、言葉に従わなかったのだ。
 そして、運よくそれは正解だったのだ。
「完敗だ……」
 川野辺は、爆弾作戦が失敗したことで完全に負けを認めた。
「川野辺! 私です。ガルバです! マジックフォースは始末しましたか?」
 そこへ、ガルバから通信が入った。どうやら、マジックフォースを始末できたか確認するために通信してきたようだ。
「負けたよ……」
 川野辺は戦いに負けたとだけ言った。
「そうですか……なら奴らの基地は見つかったのですか?」
「なにっ?」
「そうだ! このスパイ行為はオレたちの基地を見つけ出すためのものだ!」
 しかし、ガルバは川野辺が敗北したことを知ると、次はマジックフォースの基地を見つけたのかと訊ねた。
 そう、今回の目的はマジックフォースを倒すことではなく川野辺をスパイとして送り込んで、マジックフォースの基地を見つけ出すことにあった。
「……」
 マジックフォースはまたしても大どんでん返しとなり、ピンチに陥った。彼らは昨日来たばかりの新店舗の裏に基地が隠されていることも知らないが、緊張が走った。
 レッドは、基地があることを報告されると思い、息を呑んだ。
「いや……基地なんてなかったよ」
「えっ?」
 マジックフォースは、驚いた。川野辺の答えは基地などないというものだからだ。
「役立たずめ! もうあなたに用はありません! 帰ってきたら命はない物と思いなさい!」
 ガルバは、マジックフォースに負けたうえにスパイ作戦まで失敗したことに怒って、川野辺に役立たずと罵ると、そのまま怒りに身を任せて通信を切ってしまった。
「ゼムス、本当にあの店舗には基地はないんですか?」
 一方、ピンクは川野辺の言葉を信じられず、ゼムスに対して本当にトイランド新店舗には基地はないのかと訊ねた。
「いや、踏み入られることはなかったが、基地はちゃんとあるよ」
「じゃあ……?」
「この人はデスカオスにウソを言ったって事かよ?」
「そうなるな」
  だが、ゼムスの答えは意外な物だった。実際には新店舗にも基地は存在していた。川野辺は、ガルバに対してウソを言ったのだ。
 マジックフォースは、川野辺がウソを言ったことでさらに驚いた。
「なあ、教えてくれ?」
「なんだ?」
 すると、レッドは川野辺に対して訊きたいことがあると声をかけてきた。
「あんた、なんでスパイなんてやってたんだ?」
 レッドが、疑問に思ったこと……それはもちろん、なぜデスカオスのスパイをやっていたのかだった。
「復讐だよ……」
「復讐?」
「前の会社へのな!」
 川野辺は、これに対して前に勤めていた会社への復讐のためだと答えた。それだけ言うと、口をつぐんだ。
「それに関しては取引先で聞いてきた。詳しいことは僕が説明するよ。」
 そこで、代わりにゼムスが答えることにした。
「確かに彼はここの取引先に勤めていたよ。だけど、一方的にリストラを受けて辞めさせられたんだ。あの会社は一流企業だから入社できたことは彼にとって嬉しかったんだ。それと同時に理不尽に退職を迫られたことはとっても悔しかったんだろう。だからこの店を爆破することで前の会社の評判を悪くしようとしていたんだ。これが彼の考えた復讐なんだよ。」
 ゼムスは言う。川野辺がデスカオスのスパイとなって、自分たちの前に現れた理由は以前務めていた会社への復讐だと……。
川野辺は、一方的に会社からリストラされたことが悔しくて、自分を退職に追いやった会社の評判を悪くするためにと取引先であるゼムスの店を爆破しようとしていたのだ。
これが、川野辺が考えた復讐の全貌だった。
「ねえ、これって……」
「ああ……俺も同じことを思っている……この人も弱みに付け込まれていたんだな……」
「あの就職差別を受けていた元暴走族の人と同じだぜ……」
「この人も社会の理不尽の被害者だったのね……」
 マジックフォースは川野辺を前回戦ったバイクカオスだった青年と重ね合わせた。バイクカオスだった青年は自分が暴走族に所属していたことで就職差別を受けていた。川野辺もまた社会の理不尽さの被害に遭って、そこをデスカオスに付け込まれた被害者だったのだ。
「なあ、マジックフォース……」
「なんだ?」
 すると、川野辺がマジックフォースに声をかけてきた。
「俺をデスカオスの本拠地に連れていけ!」
「なに?」
 川野辺は、マジックフォースに対して自分をデスカオスの本部「カオスキャッスル」に連れていけと言い出した。
「総統のデスフォーゼは失敗した者を許さない……。作戦に失敗した者に待っている運命は死だけだ。俺は作戦に失敗しただけではなく四准将のガルバに嘘をついた。間違いなく本拠地に戻ったら命はない……。だが、デスカオスと手を組んだ以上もう真っ当な道には戻れない。だったら、俺は潔く死を選ぶ!」
 川野辺は思っていた。デスカオスは失敗した者には容赦はしない。与えられた任務に失敗した者は間違いなく彼らの手によって処刑される。
だが、自分は作戦に失敗しただけではなく、幹部にあたる四准将の一人に嘘をついた。どっちにしても自分に待っている運命は死のみである。だから、川野辺は自ら死を選んだのだった。
「頼む……デスカオス本部に連れて行ってくれ!」
 川野辺は、けじめをつけるためにマジックフォースに対してデスキャッスルに連れていけと懇願した。
「断る!」
 だが、レッドはそれを拒否した。それに続いて、他の四人も、うなずくように首を縦に振った。
「オレたちはマジックフォースになった時にあることを誓っていた。それはこの戦いで誰一人も死なせないことだ! だから、例えデスカオスの手先だとしても今にも殺されそうな人を見殺しにするようなマネなんてできない!」
 レッドは、川野辺に自分たちがマジックフォースとして戦いことになった直後に、心に誓っていたことがあると言った。
 それは、この戦いの中で一人も殉死者を出さないことであった。マジックフォースには帰還しても処刑されるだけの川野辺をデスカオスに差し出して、見殺しにするようなマネなどできないのだ。
 これには他の四人も同意見のようで、彼らはまた首を縦に振った。
「あんたは確かにデスカオスに加担をしてたし、破壊や暴行といった人として許されないことをいっぱいした。だけど、あんたにはそれらを償う責任がある。だから、デスカオスの本拠地に帰って殺される道を選ぶだなんてお門違いなんだよ!」
 レッドは、いくらたくさんの許されないことをしたとしても、それを償わずに死ぬことは間違っていると論した。川野辺にはそれら全てを償う責任が伴っているからだ。
 他の四人もそれを聞いて、再び頷いた。
「あんたにはそれを償う権利がある。まだ高校生のオレが言う事じゃないけど……就職先なんて一軒だけじゃない。店や工場のように数えきれないほどの様々なジャンルの色々な仕事場がある。オモチャ会社がダメでも他の仕事場で頑張ればいいじゃないか!」
 レッドは、自分を解雇した会社に拘る川野辺に「仕事場はそこだけではない。数えきれないほどある。だから他の仕事場で頑張ればいいじゃないか」と説いた。
 そう、レッドが言うように、世の中には様々な職種の様々な仕事場がある。彼はそう教えることで、川野辺を励ましたのだ。
 これを聞いていた他の四人は、またも首を縦に振って頷いた。
「だから死ぬなんて考えないで生きようよ!」
 最後にレッドは、川野辺に死ぬことを選ばないで生きて罪を償おうと言った。その言葉にはちゃんと罪を償って、社会に復帰してほしいという想いが込められていた。
「マジックレッド……最後の頼みを聞いてくれないか?」
「なんだ?」
 すると、川野辺は何か吹っ切れたかのように、レッドに対して「最後の頼みを聞いてくれ」と言った。
 レッドは、それが何なのか気になった。
「警察を呼んでくれ!」
 川野辺の最期の頼み、それは警察に自首することだった。
「あんたらの言うとおりだ……就職先はあそこだけじゃない。だから罪を償ったらもう一度自分にあっている仕事は何なのか探してみようと思う」
 川野辺は、レッドのいう事を信じて、自首することで罪を償ったら、もう一度自分に適した仕事を探したいと述べた。そんな彼の目は他人の尻拭いのせいで死を選ぶ人間の目ではなかった。
「分かった!」
 それを聞いたレッドは、彼の頼みを了承した。それからしばらくしてパトカーが駆けつけて、川野辺は手錠をかけられた上で警察官に連れられて車に乗った。
「ありがとう……」
 パトカーに乗せられた川野辺は、マジックフォースに対して「ありがとう」と言った。それは、殺されるにしても自ら命を絶つにしても死ぬことしか助かる方法がなかった。自分を警察に自首することで生かしてくれたマジックフォースへの感謝の言葉だった。
 そして、車のドアが閉まり、川野辺を乗せたパトカーはサイレンの音を鳴らしながら走り去っていった。
「勝ったわね」
「そうだね」
「これでよかったんだよな」
 川野辺が連行された後、マジックフォースは改めて今回も戦いに勝利したことを感じていた。
「いや……いいはずがない!」
 だが、余韻に浸るピンクたちを尻目に、ブルーだけは今回の勝利を喜んでいなかった。
「今回の勝利は自分たち自身で勝ち取ったものではない」
 ブルーが言うには、確かに戦いには勝ちはしたが、今回の勝利は、自分たち自身で勝ち取ったものではないらしい。
「健次の言うとおりだ。今回はゼムスたちや運が味方したから勝ち取った勝利だ!」
 続いてレッドが、ブルーの言う事に賛同し、ゼムスたち協力者の存在や運がよかったから勝利できたのだと言った。
「まず最初に川野辺が仕掛けた爆弾だ。ゼムスや聖歌さんが解体を引き受けてくれたから基地を失わずに済んだ。だけど自分に爆弾解体の知識がないっていうのはただの言い訳にしかならない。結局は他力本願だ。」
 最初に川野辺が仕掛けた時限爆弾の一件であった。あの時、ゼムスと聖歌は爆弾の解体技術を持たないマジックフォースに代わり、自分たちが解体をすると引き受けて、彼らを戦いに行かせた。マジックフォースはそれに従い、最終的には爆弾の解除には成功し、戦いも勝利に終わった。
 だが、レッドは自分たちに爆弾を解体するほどの技術がないと言うのはただの言い訳にしかならないと思い、結局はゼムスと聖歌に危険な仕事を任せて自分たちでは何もしていなかったために今回は他力本願だと言った。
「もう一つ……今回オレたちは運がよかっただけだ。」
「どういう事?」
「上を見ろ」
 次にレッドは、今回の戦いで自分たちは運がよかっただけだと口にした。「どういう事?」と訊ねるピンクに、レッドは上を指差して「空を見ろ」と言った。
「あっ! 空が晴れているわ!」
「さっきまで大雨だったよね?」
「じゃあ黒いコードを切る時にはもう晴れていたって事かよ?」
「そうなるな!」
 よく見ると、グレートマジックに乗って戦っていた時に振っていた大雨は止んでいて、空は青く澄みきっていた。どうやら、川野辺が仕掛けた爆弾の解体が最終段階にあった時には既に雨は止んでいたようだ。その証拠にマジックフォースの体はずぶ濡れにはなっていなかった。
「あの雨が降っていたのはグレートマジックに乗っていた時だけだ。オレたちは運に生かされた。あの雨が降っていなかったら間違いなくやられていたはずだ」
 レッドは言う。あの雨が降ったのはたまたま自分たちの運がよかったからだと。さらに、あの雨が降っていなかったら間違いなく自分たちは殺されていたとも言った。
 ゼムスたちが死ぬ思いまでして爆弾の解除を引き受けたのに、自分たちは運の良さだけで敵を倒した。
 レッドは、そんな運だけで勝ち取った勝利など素直に喜べなかったのだった。
「そうだな……」
「こんな勝ち方で喜んだら俺たちはただののぼせ野郎だ」
「運の良さなんかじゃなくて自分たちの力で勝利を勝ち取るべきだよ」
「だからこんな勝ち方で天狗になっちゃいけないわね」
 そして、他の四人もレッドの意見に同調し、人の力に甘えず運だけで戦いを乗り越えるべきではないと悟った。
「みんな、ヴァンデックや四准将はこんなことで勝てる相手じゃない。もちろんこれからどこかで戦うかもしれないモンスターにされる人たちもだ。だから、誰にも甘えずに自分たちの力で戦いに勝とうよ!」
「おうよ!」
「ああ!」
「そうだね!」
「当然よ!」
 五人の決意は一つだった。彼らは自分たちの力で勝ち取った勝利で勝ったことの喜びを感じようとしていた。ヴァンデックや四准将など、これからさらに強い敵と戦うことが予想されるからだ。
「よしみんな、目指すはオレたち五人の力を合わせての日本の平和奪還だ! やってやろうぜ!」
「おーーーー!」
 マジックフォースは、今回の戦いの反省を生かすべく、改めて運の誰かの力に甘えない自分たちの力で勝利と平和奪還を勝ち取ることと誓った。
「帰ろう……。」
 そして、マジックフォースはゼムスと聖歌が待つ基地へと帰って行った。

「あれ?」
 五人は基地があるトイランド新店舗に帰還した。だが、彼らは違和感を覚えた。
「ねえ、あの車……」
「まさか?」
 店の前には一台の車が停まっていた。その車は車体が黒く、運転席は左側にあった。だが、ナンバープレートは日本の地名の下に「と」の一文字と四つの数字が書かれていたことから日本人が乗っているものだと推測された。
 翔助は、あることに気づき、ポケットに手を入れた。
「やっぱり!」
 翔助は、ポケットから一枚の紙切れを取り出して、それを見た。その紙には前日に彼らが目撃した当初スパイだと思われた謎の外車のプレートのナンバーが書かれていた。ゼムスがその車が逃走する直前にナンバーを覚えて、それをメモして翔助に渡した物だった。
 翔助は目の前の車のナンバープレートとゼムスから渡されたメモのナンバーを照らし合わせた。
結果、目の前の車のナンバーとメモのナンバーは数字の一つも間違うことなく一致した。この車は先日スパイ疑惑がかけられた黒い外国産の車であった。
「なあ……川野辺はさっき自首したよな?」
「ああ……俺もこの目で見ている」
 マジックフォースは困惑した。デスカオスのスパイである川野辺は自分たちの目の前で自らパトカーに乗って連行された。では、この車の主は誰なのだろうか?
「じゃあ、川野辺以外にもスパイがいるって事かな?」
「あり得ないわ、例えデスカオスでも二組もスパイを送り込むなんて……」
 マジックフォースは、川野辺以外にもスパイが忍び込んだのではないのかと疑った。だが、一つの組織が二組もスパイを送り込むなどまずあり得ないことであった。
「行ってみよう!」
「ああ!」
 マジックフォースには本当にもう一組のスパイがいるのかもトイランド新店の中で何が起きているのかもわからない。考える間もなく突入するしかないのだという答えに辿り着いた。五人は翔助の合図でトイランドの中へと突入していった。

「ゼムス! 聖歌さん!」
 マジックフォースは緊張しながらトイランドへと入って行った。
「あら、お帰りなさい」
「あれ?」
 だが、カウンターで店番をしている聖歌には取り乱す様子はなく、笑顔でマジックフォースの帰還を待っていた。
「聖歌さん、デスカオスのスパイが来ませんでしたか?」
「来てないわよ。川野辺だけじゃなかったの?」
「本当みたいだな……」
 鉄哉は、意を決して聖歌に川野辺以外のスパイが来ているかと訊ねた。だが、聖歌は「新たなスパイなど来ていない」と答えた。
 健次は、彼女が川野辺しかスパイの認識がなかった様子を見て聖歌が本当のことを言っていると判った。
「じゃあ、あの黒い車はなに?」
 だが、それでもあの謎の黒い外車の謎は残った。
「ああ、それだったら……翔助くん、あなたにお客様が来ているわよ」
「オレに?」
 すると、聖歌は黒い外車の主のことを知っている様子で、その正体を話した。車の主とは翔助に用がある客人だという。
 だが、翔助にはその客人に身に覚えがなかった。
「今事務室でゼムスがお相手をしているわ。会ってあげて!」
「は……はい!」
 聖歌は、翔助に対してその客人に会ってあげてほしいと頼んだ。翔助もその客が誰かわからなかったが、とりあえず会うことにした。
「……ただいま」
「みんな、お帰り!」
 マジックフォースは訳が分からないまま事務室へと入った。そこでは、ゼムスが迎えてくれた。
「……」
「……」
 しかし、そこではゼムス以外にサングラスで目を隠した一組の男女が座っていた。
「あの……どなたですか?」
 しかし、翔助にはその二人組の正体が判らず、ゼムスに「誰ですか?」と訊ねた。
「あなた、あの子ったら私たちのことが判らないみたいよ?」
「無理もないな……十年も離れていたんだからな……」
 だが、謎の二人組は「やはり」という顔をしていた。
「ああ……この方たちは……」
「店長さん、いいですよ。自分で紹介します」
 ゼムスは、翔助たちにこの二人組を紹介しようとするが、男性の方がそれを止めて自分で自己紹介をしようとする。
「ずっと離れ離れだったんだから顔を覚えていなくても当然かしらね?」
「全く……それでも俺の息子か?」
 二人組の男女は呆れた溜め息をつきながらゆっくりとサングラスを外した。しかし、男性の方は翔助に対して「それでも俺の息子か」と呆れ気味に言った。
「ま……まさか?」
 翔助は素顔を見せたその二人組の顔を見て何かに気が付いた。
「久しぶりだな……翔助!」
 男性は、翔助に対して「久しぶりだな」と一言言った。
「父さん……? 母さん……?」
「えーっ?」
 翔助は言葉を失った。二人組の男女の正体……それは、自身の両親だったからだ。その衝撃的な事実には他の四人も驚いた。
 結束を深めたのも束の間、翔助の両親が現れた。はたして、マジックフォースはこの後どうなってしまうのだろうか?

                                  ……TO BE CONTINUE
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